前回の記事では、母が「退去連絡を不動産会社に任せてしまったこと」が原因で、家賃が二重に引き落とされていた件を書きました。
実はその賃貸には 5年3ヶ月住んでおり、結果的にさらに3ヶ月分の家賃も引き落とされてしまいました。
前回の記事です。
母の混乱が収まらないまま、次は「立会いトラブル」が始まった

退去連絡の行き違いによって家賃が二重に引き落とされていた件だけでも、母にとっては十分にショックでした。
しかし、問題はそこで終わりませんでした。
不動産会社へ「なぜ退去後の家賃まで引き落とされているのか」を確認しに行ったとき、母は担当者に「管理会社へ連絡してほしい」と依頼しました。
担当者は渋々その場で管理会社に電話をかけましたが、状況をうまく説明してくれず、話が噛み合わないまま。
そこで、母が電話を代わって事情を説明すると、管理会社の担当者から返ってきたのは、
「えっ?退去連絡はいただいていませんよ」
という言葉でした。
さらに続けて、「退去立会いをしなければ家賃が発生します」と、母が不安になるような言葉が返ってきました。
しかし、退去の手続きは「退去の連絡と鍵の返却で完了する」と契約書にしっかり書かれています。
つまり、“立会いをしないと家賃が発生する” という説明には、契約上の根拠がありません。
担当者が内容を理解していなかったのか、それともサインを急がせるための発言だったのかは不明ですが、いずれにしても借主に不利益な案内でした。
この時点で、家賃の件だけでなく、 “退去立会いトラブル” までも始まっていたのでした。
急かされたことで同様

管理会社の担当者から「退去立会いをしなければ家賃が発生しますよ」と告げられたことで、母は強い不安にかられました。
本来なら、まず親族に相談するべきところですが、動揺していた母はその余裕もなく、2日後(管理会社の休日を挟んだため)には友人と2人だけで立会いに向かってしまったのです。
しかし、この“急ぎすぎた判断”こそが、大きな落とし穴でした。
立会いの場で管理会社の説明に押される形で話が進み、最終的に母はその場で、提示された退去確認書にサインをしてしまったのです。
その金額は 86,680円。
内訳は、ハウスクリーニング・エアコンクリーニング・鍵交換、そして「入居時にはあったはず」と言われて請求された備品代と3カ所ほど汚れてしまったクロスクリーニング代でした。
契約書の特約を見ると、ハウスクリーニング・エアコンクリーニング・鍵交換 の3点は、確かに借主負担と明記されているため、支払う必要があります。
しかし、入居時にあったとされる備品とクロスクリーニング(汚損の根拠が曖昧なまま請求されたもの)については、どうしても納得できない内容でした。
年金暮らしの母にとって、86,680円という退去費用は決して軽い負担ではありません。
(敷金・礼金なしの賃貸だったため、まるごと支払う形になります。)
それに加えて、3ヶ月分もの家賃が二重で引き落とされていたこともあり、精神的にも金銭的にも、母には大きな負担となりました。
母は「仕方ない」と自分に言い聞かせていましたが、その言葉の奥には、納得していない気持ちがはっきりとありました。
さすがに私も、このままでいいとは思えず、旅行中もずっと“退去トラブル”について調べていました。
どうにかできることはないのか──そう考えずにはいられない性格なんですよね。
退去トラブルを防ぐために、私たちができること

今後、私たち夫婦も“賃貸で暮らし続ける”と決めています。
だからこそ、母の件は決して他人事ではありませんでした。
「知らなかった」「証拠がなかった」ただそれだけで、借り主は簡単に不利になる。
今回の出来事は、それを痛いほど教えてくれました。
この体験から、いかに私たち借り主が知識と準備で自己防衛すべきかを学びました。
次からは、あなたが同じ目にあわないための具体的な対策を解説します。
1. 立会い時に “その場でサインしない”
サイン=合意(その内容を認めたことになる)
一度サインすると、後から取り消すのがとても難しくなります。
その場で判断せず 「持ち帰って確認します」 と伝えて大丈夫です。
2. 退去時(入居時も含む)の部屋は必ず写真を撮る
壁・床・天井・水回り・設備など、細かい部分まで撮影してください。
写真は あなたを守る“証拠” になります。
不当な請求を避けるためにも必須です。
3. 立会いには “不動産に詳しい人 or 親族” を連れていく
退去立会いを 一人で行くのは避けたほうが安心です。
男性や不動産に詳しい人が同行してくれると心強いです。
知識のある人が一緒にいるだけで、話が冷静に進み、不要なサインを避けられます。
一方で、何も知らない友人同士だけで行くと、相手のペースで話が進み、ついサインしてしまうリスクがあります。
“判断の助けになる人” を一緒に連れて行くのが最善です。
4. 契約書の特約は必ずチェックする
退去時の費用に関しては、特約に書かれている内容が“優先”されます。
例:
ハウスクリーニング代
エアコンクリーニング代
鍵交換費用
また、契約書に記載の「解約方法」も大切です。
退去連絡は特に重要なので、必ず確認しておきましょう。
5. 退去前(入居前も)に予習しておく
YouTubeやブログで「退去トラブル」「原状回復」「退去 サイン」などを事前に見ておくだけで、対応力が大きく変わります。
知識があると、相手の言葉に振り回されなくなります。
6. 録音・録画をする
立会い時は “言った・言わない” が起こりやすいので、録音・録画は あなたを守る最強の手段 です。
国民生活センターでも相談が多い

上記は国民生活センターが公開している注意喚起の資料です。
退去トラブルは全国で増えており、「知らなかった」だけで大きな損につながるケースが後を絶ちません。
普段から最低限の知識を持っておくこと、そして事前に備えることで、避けられるトラブルは本当にたくさんあります。
サインはしてしまったけど
入居時の契約書などをきちんと確認しなかったこと。
そして、立会いの場で “サインする義務はない” こと知らなかったこと。
その積み重ねで、またしても母は結果的に損をしてしまそうになっていました。(この時点ではまだ引き落としされていない)
でも、その話を聞いた私は、どうしても納得がいかない。
10年ぶりの家族旅行なのに、ずっと頭の片隅に引っかかって、気持ちが落ち着かない。
「いや、これ本当に母だけの問題なの?おかしいことはちゃんと確認したい。」
そう思った、私は動くことにしました。
今回の体験をきっかけに、私は管理会社が書いた確認書や資料を一つひとつ見直しました。
すると、いくつもの「おかしな点」に気づきます。
次回は、私が管理会社や母が“見落としていたミス”を発見したことで、思いがけない展開へ進んだ話をお届けします。
あの退去確認書以外にも、実は重要なポイントが隠れていました。
