数百万という大金を投じ、4ヶ月にわたって進めてきた義実家の解体工事。

いよいよ借地返還のための「地主さんとの立会い」の日を迎えました。

更地になった土地を地主さんに確認してもらい、OKが出たら、土地家屋調査士に頼んで、境界杭を打って土地を返せば、この大きなプロジェクトもひと区切りです。

結果としては、地主さんから「これでいいです。」と無事に了承を頂けました。

今回は、地主さんとの立会い前に起きた、一瞬の油断も許されない、緊張の走った出来事についてお話しします。

更地で残っていたもの、写真報告書への違和感


当日は、円満に幕を引くことだけを願って現地へ向かいました。

しかし、約束の時間の直前。

先に土地を確認した私は、そこにあるはずのない光景を見て、違和感を覚えました。

徒歩で向かう義実家の場所が見えてきて、建物が完全になくなり広くなった更地――までは良かったんです。ある場所を除いては。

実は、事前に届いていた写真報告書を見た時から、少しだけモヤモヤしていました。

肝心な場所の写りが不鮮明だったり、角度が微妙だったり。

担当者からのメールに「とても忙しくなってきたので云々」という一言があったのも、現場の状況を正しく把握できているのか、一抹の不安を抱かせる原因でした。

そもそも、何かあればすぐに連絡をもらう約束になっていたはずです。

「もう少し丁寧に写真を撮ってほしい」という施主としての不満もありましたが、契約書の記載は明確ですし、何よりプロを信用したいという思いがありました。

だからこそ、あえて細かく問わずに現地へ赴いたのです。

しかし土地に立った瞬間、その不安は「確信」に変わりました。

契約書と違うんだけど

現地で私の目に飛び込んできたのは、残されたブロック塀の基礎でした。

契約書には「基礎は全て取り壊し、更地にする」と明記されています。

それなのに、なぜか一部がそのまま残されていたのです。

地主さんが到着するまで、あとわずか。

実は当日は、解体業者も立ち会って欲しかったのですが、時間が合わなかったのです。

もし地主さんに「ここ、基礎が残っているから、撤去して更地にしてください」と指摘されたら……。

「あ、それは業者さんの判断みたいでして…」なんて言い訳が、借地の返還という場で通用するはずがありません。

「知りません」では済まされない!と、私はすぐに担当者へ電話を入れ、理由を聞きました。

そこで聞かされたのは、「接している市道が非常に古く、基礎をすべて抜いてしまうと、経年劣化で道路がボロボロと崩れていってしまう」という理由でした。

↑更地前の写真ですが、このように、市道がボロボロでブロック塀の基礎を撤去することで、アスファルトがどんどん剥がれてしまうため、なおす工事も多額になってしまうんです。これも古い家あるあるなのかも知れませんね。

そうなると市の許可申請や多額の追加費用が発生してしまうため、あえて残したというのです。

業者の言い分や施主を思ってということは理解できました。

しかし、なぜそれを事前に相談もなく解体工事を終えたのか。

「現場の判断」と、実家じまいの納得感

業者としては、良かれと思っての「現場の判断」だったのかもしれません。

しかし、返す相手(地主さん)がいる以上、これは非常に危うい賭けです。

それに、忙しい中、地主さんも立会いに来てくれています。

私の頭の中では、最悪のシナリオが回り始めました。

「工事のやり直しで多額の追加費用」「返還日の延期」「地主さんとのトラブル」……。

そして、遠くから地主さんの姿が見えました。

私の不安をよそに、土地へ近づいてくる地主さん。

果たして、この「残された基礎」を見た地主さんは、一体どんな反応を示したのか――。

地主さんの答えは


ついに地主さんが到着し、更地になった土地を見ていただきました。

地主さん曰く「何度も通っていたので、案外早く更地になってびっくりしました。」とすでに何度も現場を覗いてくださっていたようです。

さらに解体業者の担当者とも面識があったことなど、終始和やかな会話が続きました。

それでも私の気持ちは、どうしてもあの「残された基礎」に向かってしまいます。

「もし指摘されたら、今の電話の内容をきちんと説明しなければ・・」と、頭の中で必死にシミュレーションを繰り返していました。

ところが、地主さんは土地全体を見渡して、「これで十分ですよ。」と満足気で、基礎については、一言の指摘もありませんでした。

業者さんが言っていた「道路を守るための判断」は、専門的な視点で見ればむしろ必要な配慮だったのかもしれません。

現場の状況を優先した業者の判断と、それをそのまま受け入れてくださった地主さんの寛大さ。

あんなに一人で焦っていた自分の「空振り」に、少しだけ肩の荷が下りるのを感じました。

実家じまいは、最後の最後まで自分の目で確認し、業者任せにしない。

そのプロセスすべてを含めて、気持ちよく土地をお返しするための、大切な時間だったのだと実感した一日でした。

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