【実家じまい】解体工事で「なくなるのに残るもの」がありました。一本の電話で判明したこと
解体工事の契約も無事に済み、私の中では「実家じまい」という大きな山を、ひとつ越えたような気持ちでした。
あとは建物の取り壊しが始まり、最後に「滅失登記(めっしつとうき)」と「役所への連絡」を自分で行えば終わり。
そんなふうに、少しだけ、肩の力を抜いていた時のことです。
着工前の申請手続きやご近所への挨拶回りで、解体業者さんは忙しそうに動いてくれていました。
その中で、私のスマホに解体業者から一本の電話が入ります。
この電話が、あんな「謎解き」の始まりになるとは、思ってもいませんでした。
全く理解できない内容の電話
解体業者さんからの、不可解な打診
「水栓の名義を、地主さんに変更していいですか?」
業者さんの問いかけに、私は思わず聞き返しました。
「えっ、名義変更!?水道メーターを取り外すのに、名義変更が必要なんですか!」
家を壊して更地にするのだから、すべて撤去してメーターボックスだけ残して「終わり」だと思っていました。
それなのに、なくなるものに対して「名義を変える」という話が出てくる。
どうしても結びつかず、頭の中は「?」でいっぱいになりました。
設備屋さんの説明と、私の「仮説」
解体業者さんの説明だけでは腑に落ちず、私は今回下水道工事を請け負ってくれるという「設備屋さん」に電話をしました。
説明を聞きながら、頭の中でひとつの考えが浮かびます。
「それって、もし今名義を変えておかないと、将来、地主さんがこの土地を使うときに、現在の名義人に連絡が来る可能性があるってことですか?」
少し考えながら、そう聞いてみました。
すると返ってきたのは、「はい、そうなります」という、答えでした。
その瞬間、バラバラだった点が、ひとつにつながった気がしました。
「使用者」と「所有者」の決定的な違い
後でよく調べてみたところ、混乱の正体は、水道の仕組みが“二重構造”になっていることでした。
事前に水道メーターの名義は分かっていましたが、役所に返却するので、それで終わりと思っていたんです。
しかし、実際にはこういう違いがありました。
・水道の使用者
蛇口をひねって水を使う人 → 水道料金を支払う契約者(引越し等で閉栓すれば終了)
・給水装置の所有者
地面の下にある配管や止水栓など、設備そのものを持つ人 → 「財産」として台帳に残る
水道局の定義では、配水管から分かれた後の給水管や蛇口などは、水道メーターを除いて、すべて「所有者の財産」とされています。
(※こうした「給水装置」の定義や修理区分は、各市区町村によって多少のズレがあるかもしれません。気になる方はお住まいの地域の水道局ホームページを確認するか、直接水道局に問い合わせてみてください)
「リスク」を今のうちに整理する
建物がなくなっても、地面の下の「給水装置」は残ります。
将来、地主さんが土地を活用したり、配管の工事を行ったりする際、名義が私のままだと、承諾や手続きが必要になる可能性があります。
ただ、「名義が残っている」というだけで、将来の手間やトラブルの原因になる可能性はあります。
地主さんへ、バトンタッチ

忘れた頃に連絡が来るかもしれない。
そんな不確定なリスクを残さないために、今のうちに名義を整理しておく。
「給水装置の所有者」を地主さんに変更し、書類上もきれいに引き継ぐ。
これが、実家じまいの総仕上げになるのだと、今はそう感じています。
その後、すぐに地主さんへ事情を説明したところ、快く納得していただけました。
現在は、設備屋さんから届く申請書類に、署名と押印をして返却していただくよう、手続きを進めているところです。
一本の電話から始まった、今回の「謎解き」。
終わってみれば、土地だけでなく、インフラの権利まで含めて、きちんと整理してお返しする準備が整いました。
目に見えるものは、これからなくなっていきます。
けれど、目に見えないものは、意識しなければ残り続けます。
その両方を整えてこそ、実家じまいは完了するのかもしれません。
