今回で、母の退去トラブルに関する話は最終章です。
結論から言えば、退去費用は、当初の請求額より安くなる結果になりました。
ただし、その結論にたどり着くまでには、管理会社が見落としていた複数のミスがありました。
ここまでの流れで、母は管理会社の高圧的な言動に押され、立会いで提示された退去費用にサインをしています。
しかし、話を聞いた私は、「管理会社の対応そのもの」にどうしても納得できない点がありました。
退去トラブルの記事です。
証拠集めと管理会社へ質問メール

どうしても今回の件で腑に落ちない私は、帰省中に1人で管理会社へ立ち寄り、担当者の名刺をもらい、「後日、メールでご連絡します」 とだけ伝え、新幹線で自宅へ戻りながら、今回の対応について“引っかかる点”を整理していきました。
まず事前に母から預かった契約書類の入った封筒の中身を全て見直すことにしました。
契約書と立会い確認書を再度確認し、封筒の中に入っていた入居時のチェックシートなども確認しました。
その中でおかしい箇所が見つかったのは、立会い確認書と入居時のチェックシートでした。
立会いの日、管理会社の担当者はチェックシートを持参しておらず、部屋を見ながら「入居時にあったはずです」という曖昧な理由で、実際には最初から無かった備品を請求に載せていたのです。
そこで私は、気づいた点をメールで質問することにしました。
なぜ「メール」にしたのかというと、以前の不動産会社担当者とのやり取りでトラブルがあり、電話や口頭では証拠が残らないと痛感していたからです。
その主なメールの質問内容は下記になります。
①清掃費用等の内訳を開示してください
契約書には、ハウスクリーニング・エアコンクリーニング・鍵交換の金額の記載はありませんでした。
→ 回答: PDFの金額表が送られてきました
・借主側から積極的に確認しないと、必要な情報が得られないのはおかしいです。
また、ハウスクリーニングの業者からの実際の見積書など詳細の写しを依頼したが、回答なし。
②契約書には「退去は連絡と鍵の返却で終了」
とあるのに、「立会いしないと家賃が発生する」と言った理由は?電話した当日でも鍵の返却はできた。
→ 回答:明け渡し時に鍵の返却と立会いをお願いしている。
立会いはした方が、そちらのも「メリットがあると考えている。」
・契約書には立会いについての記述なしということで質問したが、お願いしているにとどまっている。
・借主のメリットとは何か?詳細についての回答なし。立会いしないことで、管理会社側の言い値で請求しますよと言いたいのかもしれない。
借主側も事前のチェックはしっかりと証拠を残しておくか、立会いをするなら、サインはその場ではしないことを徹底するしかない。
③ 入居時チェックシートにない備品の請求
「入居時にあった」と請求した理由は?備品のメーカー名・金額を教えて欲しい。
チェックシートは、当時の不動産会社の担当者と確認してチェックし1枚を管理会社へ返送、もう1枚(複写ではない)は契約者が保管。
→ 回答:入居時チェックシートは管理会社では、備品の有無の記載がされていない。
備品は「一般的な製品なので、ホームセンターなどで確認してください。」と詳細を明記せず。
金額については、「およそ〇〇〇〇円くらい+作業費」と曖昧な回答。
・一般的と言っても、Amazonで検索してもたくさんのメーカーが出している製品でした。何をどう確認したらいいのかわかりません。さらに金額についても、およそ・〇〇円くらいなど、詳細の説明として成立しておらず、逆に不信感が深まりました。
④解約連絡は不動産会社からでも受け付けるのか?
→ 回答:回答なし。
私の見解
この管理会社は、不動産業以外にも複数の事業を行っている、県外に本社を置く会社です。
そして、私が一番驚き、不信感を抱いたのが、その対応のずさんさです。
立ち会い確認書には、母がサインした請求金額が明記されていたにもかかわらず、こちらが具体的な内訳を質問すると、担当者はどの項目についても明確な金額を提示できませんでした。
え、大きな会社の請求なのに、何にいくらかかったか把握してないって、プロとしてどういうこと!?」
この対応には、正直呆れを通り越して、「これ、請求がテキトーなんじゃないの?」と確信しました。
株式会社として、あまりにも杜撰(ずさん)ではないでしょうか。管理会社側に事務的なミスか、もしかしたら私たちをだまそうとしてるんじゃないか、という私の疑惑は、このずさんな対応で一気に深まっていったのです。
管理会社のミスを指摘してみる

もう一度、気づいた点の質問メールを送ってみました。
一つ目は、立会い確認書に書かれている部屋番号が間違っていることを指摘。
この用紙は複写なので、管理会社の用紙も間違っています。
→回答:新しい立会い確認書のPDFを送ってきました。
・金額は変更せず、そのままです。
こちらが、立会い時の複写の金額の写真です。
新しい確認書なので、契約者のサインは入っていません。
管理会社のミス2つ目
次に、立会い確認書に記載された「備品2点の請求」です。
母のチェックシートでは「無」に○
もう一つはそもそも 項目自体が無い
ところが問い合わせに対し、管理会社の回答は、「こちらの控えには記載なしです」という返信と入居時に撮った?という写真(※日付なし)
管理会社側にある写真は、どの部屋のものか分かりませんし、追求はしませんでしたが別の部屋の写真ということはこちらはわかっています。
本来なら「入居時チェックシートそのもの」を添付するのが普通なのに、なぜか入居時と言われる写真だけを送ってくる点に大きな違和感を覚えました。
私はこの時点で、メールでのやり取りでは埒が明かないと判断し、母に状況を説明しました。
そして、「親族と一緒に管理会社に行き、入居時チェックシートのすり合わせをして、話し合いをして、納得の上で立会い確認書にサインをしてきてほしい」と伝えました。
母は親族と一緒であれば安心できると言い、同行を了承してくれました。
日程を調整し、管理会社にもメールで連絡したところ、「当日お待ちしています」という返事が届きました。
この時点では、管理会社は一切、請求額を見直す気配はありませんでした。
交渉は母と親族に託すことに
母は、親族と一緒に管理会社へ向かい、録音の許可を得たうえで話し合いを進めました。
高圧的な相手でも、許可を得て録音することで、交渉の場が冷静に保たれます。
私は事前に、管理会社の不審な点を強くは言わずに淡々と、指摘してきてほしいと、母と親族に頼みました。
母が保管していた入居時チェックシートの内容を一つずつ確認し、実際の記録を見返すことで「入居時にハウスクリーニングが行われていないのでは?」と思えるほどたくさんの汚れの記述が残っていたこと、さらに記載のない備品が請求に入っていたことなどを指摘していきました。
管理会社側は、もちろん「反論」はしてきたそうです。
しかし、最終的にチェックシートという動かぬ証拠の前では、それ以上は押し通せず、自ら請求金額を減額したというのが、ことの顛末です。
その結果、
ハウスクリーニング代(全額)の免除
備品2点の減額
これらの修正が提示され、最終的に話はまとまりました。
86,680 → 49,500円 「37,180円の減額」です。
入居時チェックシートを照らし合わせる中で、文字や記載の不自然な点も見つかったそうですが、強く責めるのではなく、淡々と必要な部分だけを整理して伝えたとのことです。
その上で、管理会社側が請求金額を自ら減額したというのがことの顛末です。
さいごに
家賃の二重引き落としについては、残念ながら連絡の行き違いを証明しきれず泣き寝入りとなってしまいましたが、退去費用についてはハウスクリーニング代が全額無くなり、母も少しは気が晴れたようです。
ですが、これを「勉強になった」と綺麗事で済ませてはいけないと思っています。
今回の件で改めてわかったのは、私たち借り主にとって「知識」と「証拠」こそが、管理会社の不当な圧力に対抗する唯一の武器だということです。
知識がないと、いいように扱われてしまうという強い危機感を持ち、これからも勉強していくことが必要だと私は考えます。
現在も、問題の不動産会社が管理している集合住宅に住んでいる母ですが、今回の件を受け、すぐにではないにしても時期を見て引越しを考えているようです。
今回の一連の出来事は、退去をめぐるトラブルが決して他人事ではないことを教えてくれた出来事でした。
実は、私たちは消費者センターや関連の相談窓口にも問い合わせました。しかし、不動産の退去トラブルは制度上むずかしい面も多く、今回のケースでは大きな進展を得ることはできませんでした。
そのため遠回りではありましたが、最終的には自分たちで地道に交渉を進める形となりました。
