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【後編】老後の備えが進まない理由と、今日からできる小さな一歩

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まずは「3つのバイアス」を思い出そう。

この記事は後編です。前編では「老後が不安なのに、なぜ多くの人が何もしないのか?」というテーマからスタートし、そこにひそむ3つのバイアスについて解説しました。

その最後でお伝えした「3つのバイアス」について、あらためて簡単に振り返っておきましょう。
思い出しながら読むことで、後編の内容がより深くつながって感じられるはずです。

一つ目は、「先延ばしバイアス」です。
「まだ時間があるから」「そのうちやろう」と、重要だけど緊急でないことを後回しにしてしまう傾向です。老後の備えはまさにこれで、遠い未来のことだと感じてしまうため、ついつい先延ばしにしてしまいがちです。

二つ目は、「現状維持バイアス」です。
変化を避け、今の状態を維持しようとする心理です。新しいことを始めたり、慣れないことに取り組むのはエネルギーが必要なので、つい現状維持を選んでしまいます。老後資金の計画を立てるというのは、新しい行動なので、このバイアスが働くことがあります。

三つ目は、「楽観性バイアス」です。
「自分は大丈夫だろう」「なんとかなるだろう」と、自分にとって都合の良い未来を想像してしまう傾向です。これは悪いことばかりではありませんが、老後の資金計画においては、現実を直視することを妨げてしまう可能性があります。

これらのバイアスは誰にでも働くものなので、「自分がダメだから」と自分を責める必要はありません。大切なのは、これらのバイアスが存在することを認識し、「だからこそ、意識して計画を立てる必要があるんだな」と理解することです。

いつかやろう」は、永遠にやらないかもしれない

「いつかやろう」は、残念ながら「永遠にやらない」になってしまう可能性が高いんです。だからこそ、「よし、今日から始めてみよう!」と、意識的に行動を起こすことが大切になります。

じゃあ、どうやって始める? 誰でもできる「小さな一歩」

ステップ1:現状を把握する

まずは、今の自分のお金について知ることから始めましょう。

毎月の収入はいくら?

毎月の支出はどれくらい?

今の貯蓄額は?

家計簿アプリを使ってみるのも良いですし、手書きのノートでも構いません。まずは、自分のお金の流れや貯蓄の現状を「見える化」することが大切です。これにより、「あれ?意外と無駄遣いしているかも」「これなら毎月〇円くらいは貯蓄に回せそう」など、具体的な気づきが得られます。現状把握は、すべての計画の土台となります。

また、毎年届く「ねんきん定期便」を見直して、将来受け取れる年金額の目安を確認してみるのもおすすめです。

漠然とした不安を減らすためには、まず自分の「今の位置」を知ることが大切です。

もし手元にねんきん定期便がない場合は、「ねんきんネット」で確認することもできますよ。

ステップ2:目標を設定する(まずは行動目標から!)

「老後に〇〇万円必要!」といった大きな目標も大切ですが、最初からその金額に圧倒される必要はありません。まずは、「毎月〇円を老後資金として貯蓄に回す」といった、具体的な「行動目標」を設定してみましょう。

ステップ1で把握した家計の状況を見て、「まずは毎月5,000円から始めてみようかな」「いや、1万円はいけるかも!」など、無理のない範囲で金額を決めてみてください。最初は少額でも全く問題ありません。大切なのは、「始めること」そして「継続すること」です。

なお、この節約ノススメでは、「未来の自分が喜ぶ選択を、今日の自分がひとつ積み重ねていく」ことを大切にしています。

毎月の小さな目標も、未来へのプレゼントだと思って、気負わずに始めていきましょう。

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ステップ3:老後資金のための「お金の置き場所」を決める

毎月の貯蓄目標額が決まったら、そのお金をどこに置くかを決めましょう。

普通預金でも良いのですが、老後資金はすぐに使うお金ではないので、少しでも有利に増やせる可能性がある方法を検討してみるのも良いでしょう。

ここで選択肢として考えてみたいのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAといった、国が用意している税制優遇のある制度です。

これらの制度を利用すると、運用益に税金がかからなかったり、掛け金が所得控除になったりといったメリットがあります。

「投資って聞くと難しそう…」と感じるかもしれませんが、つみたてNISAのように、初心者でも始めやすいように設計されている制度もあります。

少額から始められますし、一度設定してしまえば自動的に積み立ててくれるので、手間もかかりません。

これらの制度について少し調べてみるだけでも、視野が広がるはずです。詳細については、各制度の公式サイトを確認したり、本でゆっくり学んでみるのもおすすめです。

ステップ4:必要に応じて専門家やパートナーと話してみる

「自分一人で考えるのはやっぱり不安…」「もっと詳しく知りたいけど、どこに聞けばいいの?」と感じたら、専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)に相談してみるのも良い方法です。
家計の状況や将来の目標などを踏まえて、あなたに合ったアドバイスや具体的なプランを提案してくれます。

なお、FPには無料相談を受け付けているところもありますが、多くの場合、保険商品などの販売を前提にしていることがあります。
本当に中立的なアドバイスを受けたい場合は、最初から料金を支払って、特定の商品を勧めない独立系FP(有料FP)に相談するのも一つの方法です。

また、結婚されている方は、ぜひパートナーと老後のことについて話し合ってみてください。

お互いの考えていることや、どんな老後を送りたいかを共有することで、協力して準備を進めることができます。

もしかしたら、パートナーも同じように不安を感じていたり、どうしたら良いか分からずにいたりするかもしれません。二人で話し合うことで、具体的な行動に繋がることも多いはずです。

女性だからこそ考えたい、ちょっと先の未来

私たち女性は、男性に比べて平均寿命が長い傾向にあります。これは素晴らしいことである反面、老後期間が長くなる分、より多くの資金が必要になる可能性があるということも意味します。

また、出産や育児、あるいは親の介護などで、一時的に仕事を離れたり、働き方を変えたりする方もいらっしゃると思います。

キャリアの中断は、その期間の収入が減るだけでなく、将来もらえる年金額にも影響が出てくる可能性があります。

さらに、離婚や死別といった予期せぬライフイベントも、可能性として考えておく必要があります。一人になった時でも、経済的に自立して安心して暮らせるための備えは、女性にとって特に重要と言えるでしょう。

これらの女性ならではの視点を踏まえると、自分自身の老後資金だけでなく、広い意味での「老後」の備えとして、健康寿命を延ばすための健康管理や、もしもの時の医療費、介護費用についても、少しずつ意識しておくことが大切になります。

元気なうちに、将来の自分や家族が困らないように準備しておくことが、何よりも安心に繋がるはずです。

未来の自分に「ありがとう」と言われるために


老後の備えは、決して「やらなければならない辛いこと」ではありません。むしろ、将来の自分が笑顔で過ごせるようにするための、「未来の自分への投資」であり、大切な「自分へのご褒美」のための準備だと考えてみてください。

今日お話ししたように、まずは現状を知ることから、そして「毎月〇円を貯蓄する」といった小さな行動目標から始めてみましょう。

完璧を目指す必要はありません。できることから、一つずつ、自分のペースで進めていくことが大切です。

もし、この記事を読んで「よし、始めてみよう!」と少しでも思ってもらえたなら、今日がその第一歩です。

アプリをダウンロードしてみる、銀行のウェブサイトを見てみる、パートナーに話しかけてみる…どんな小さなことでも構いません。

その小さな一歩が、きっと明るい未来に繋がっていきます。

未来のあなたが、「あの時、始めておいてくれてありがとう!」と今の自分に感謝できる日が来ることを願っています。

一緒に、楽しみながら老後の準備、始めてみませんか?