「親が大切にしてきた実家だから、自分がなんとか守らなきゃいけない。」そう考え続けることで、逆に、何も選べなくなってしまうことはありませんか。

あるいは、生前に身内から託された言葉に、必要以上に縛られてしまってはいないでしょうか。

私には、帰るべき実家はありません。

だからこそ、最初は今の家族である「義実家」のことを、どこかで重く受け止めていました。

義両親から、直接「家を守ってほしい」と託されたわけではありません。

けれど、かつての両親――私にとっての義祖父母が使っていた布団を、ずっと大切に使い続けていた義両親の姿を、私は見てきました。

その光景が目に焼き付いているからこそ、言葉にされずとも「この家が壊されるなんて、きっと露ほども思っていないのではないか」そんな無言の圧力を、私は勝手に自分の中で膨らませていた時期があります。

そして今、私はその家の解体工事の手配をしています。


自分の中ではもう、気持ちは成仏しています。

やるべきことをやる、と決めて進めている。

けれど、どこかで「こんなふうに割り切って進めている自分は、冷たい人間なのだろうか?」という思いが、頭の片隅をよぎることがありました。

そんな時に出会ったのが、この動画です。

投資信託クリニック、カン・チュンドさんのアンサー。

カン・チュンド note

私の漠然としていた思いを、見事に言語化し、論理的に整理してくれました。

相談者のケースは私とは異なりますが、「冷たいのではない。これでいいんだ」と、自分の選択を肯定してもらえたような気がしたのです。

もし、かつての私のように「無言の願い」に縛られたり、自分の決断を「冷たい」と責めてしまいそうになっている方がいたら、この言葉が届いてほしい。

そんな願いを込めて、紹介します。

YouTubeの相談内容

出典:NISAおおきに質問ライブ!26.02.22

ここで、私が出会った動画の相談内容を、簡単に紹介します。

28分25秒あたりから始まります。

相談者は、「築60年以上の古家付きの土地を相続してほしい」と85歳の母親から言われているものの、そこに住むことは現実的にできず、それでも「思い入れのある実家を維持してほしい」という親の願いを前に、どう判断すべきか悩んでいました。

生前に交わした会話が、親が亡くなったあとも頭に残り続け、合理的に売却したり、別の形で活用したりしていいのか、迷ってしまいそうだ――という内容です。

この相談に対して、投資信託クリニックの カン・チュンドさんは、とても冷静で、けれど突き放すことのない視点から答えていました。

次に紹介するのが、そのアンサーです。

相談への回答:よくある相談です。

※以下はYouTube動画の内容をもとにした文字起こしです。
読みやすさを優先し、一部、話し言葉を整えている箇所があります。

質問おおきにありがとうございます。
運用相談でよーくある話ですね。重たいですよね。
質問者さんが戸惑われるのは、ごもっともです。

お母様の気持ちがわからないわけじゃないんですよ。

でも、資産っていうのは相続の話です。
残る資産があって、受け継ぐ人がいて。
そこには、お互いに「エチケット」があると、僕は思うんですよ。

もちろん、資産を残す人が主人公です。
主人公なのはわかるんですが、
息子や娘たちに
「ぜひこれは守ってほしい」
「売らずに持ち続けてほしい」
というのは、あくまでご本人の希望なんですよね。

ここからは、すっごく冷めた物言いになるんですが、
亡くなられた後というのは、所有権はすでに相続人の方に移っています。

持ち続けようが、売却しようが、
有効活用しようが、そのまま放っておこうが。

プラスアルファして申し上げると、相続が発生したときに
相続放棄をするという権利も、もちろん引き継ぐ側が有しています。

単刀直入に申し上げると、シビアに、冷めた目で見ても良いのではないでしょうか。

資産やお金のことというのは、冷静に、かつ冷めた考え方で処理する。
僕は、それが大事だと思います。

お父様やお母様に世話になった、自分ができることはする。
これはして差し上げる。

でもそれと、引き継ぐ資産があるからといって
「親が言ったように管理し続けなければならない」
という義務は、相続人である子どもには、僕はないと思います。

質問者さんは、これから自分の人生を歩まれるわけですから。
語弊を恐れずに申し上げます。

もっと自分本位で、資産と相対してください。

お金とか資産というのは、
色も感情も、本来的に持っていません。

お父様、お母様の気持ちはわかりますよ。

でも、ご本人が亡くなってしまえば、1億円のお金も、100坪の土地も、
まったく感情を持ちません。

引き継ぐ側がどうするか。
引き継ぐ側の都合、引き継いだ側の価値観で、資産の扱い方を決めていいと思います。

僕は運用相談の中で、たーくさんそういう事例を見てきました。
資産を引き継ぐ方が、「親の呪縛」から解かれていないという例をたくさん見ました。

そんなのおかしいです。
それは違うと、僕は思います。

もっと自由になっていいと思います。

質問、おおきにありがとうございます。

さいごに|ひとつの考え方として


カンさんのアンサーは、「こうすべきだ」と断定するものではありません。

すべての人に当てはまる答えでも、これが唯一の正解だという話でもないと思います。

ただ、親の気持ちを大切に思うあまり、自分の判断を後回しにしてしまっている人にとって、「こんな考え方もある」という視点を示してくれる言葉だったように、私には感じられました。

私自身、義実家の片付けや解体を進める中で、すでにやるべきことは決めていました。

それでもどこかで、「冷たいのではないか」という思いが頭をよぎっていたのも事実です。

その迷いに対して、「それでいい」と静かに背中を支えてくれた。

私にとって、このアンサーは、判断を肯定してくれる“ひとつの答え”でした。

もし、親の願いや、生前に託された言葉に縛られて、立ち止まっている方がいたら。

絶対ではないけれど、こんな答えもある。

そう受け取ってもらえたら、と思います。

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